位置

Guide to Basilico

PART1

along Waltva River

ワルタヴァ河畔にて

橋の上から見たルコラ号

26

ふたりとも、しばらくぼんやり対岸を眺めていたが
やがてメナムが思い出したようにいった。
「カンパリさんは魚をご覧になったことがありますか」
「いえ。図鑑では」
「そうですか。実はこのワルタヴァ川にも魚はいるんですよ」
「え、それは」
「誰か、魚はいると想う菜人がいるということです」
「わたしの友人の間でも、見たという話は・・・」
「たぶん、想う菜人が少なく、存在できる魚も少ないのでしょう」
「メナムさんは?」
「一度だけあります。青い背鰭の大きな魚でした」
「メナムさんの想った魚でしたか?」
「いえ。多分違うでしょう。わたしの記憶にない魚でしたから」
その答えに対する言葉をカンパリが探していると、
ふいに、メナムが、この話はやめようというように
傍らの本の方へ手を伸ばした。
ようやくカンパリの仕事がはじまるようである。

椅子