位置

Guide to Basilico

PART1

along Waltva River

ワルタヴァ河畔にて

椅子と本

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「で、メナム氏は陸に上がらずにバジリコ市内の地図を描きたいというのかい?」
カンパリの話を聞き終えたドノバンがいった。その疑問に関して、すでにカンパリは自分なりの答えを用意してある。しかし、それをドノバンを相手にいうべきか。やや迷いながらも口にしてみた。
「いずれにしても、彼が描きたいというのは誰も見たことがない時代の地図なのだからね。陸に上がる上がらないというのはあまり関係ないのでは」
「見たことがないのではない。憶えていないんだ」
即座にかえってきた言葉を聞いて、やはり・・・長くなりそうだ。そう思ったカンパリはすぐに話題を変えることにした。傍らの分厚い本を取り上げ、真ん中ほどのページを開くと、その間から薬包を取り出したのである。

椅子